はじめに

茶碗に満ちる人の心 ―亭主の茶―

「一杯のお茶」という、もっとも日常的なものの中に,深い精神性があると述べた、明治時代の文明思想家、岡倉天心の『茶の本』。その一節が ―茶碗に満ちる人の心― 。
単に茶の飲み方の極意や味わいだけではない、日々の暮らしの中にこそ人に潤いをもたらすものがあり、万物との繋がりを取り戻す極意が眠っている…と、そこには説かれています。
村上には古くから大切なお客様には一家の当主がお茶を入れてもてなすという文化があります。私どもはそれを「亭主の茶」と呼称し、大切に受け継いできました。亭主と客と自然の風景が一体となり、互いの呼吸や所作が織りなす調和のひととき・・・
一期一会。
いのち豊かな北限の一滴(ひとしずく)、村上茶―。どうぞ心ゆくまでお愉しみくださいますよう・・・。