江戸時代から180年続く麹づくり。江戸時代、喜っ川は造り酒屋をしており、その当時から脈々と受け継がれてきたのがこの麹づくりです。この麹は、村上の正月料理を飾る鮭の飯寿司には、無くてはできないものなのです。鮭の飯寿司は12月になると今でも各家庭で作られる、乳酸発酵で生まれる熟れ寿司です。この麹を求め1000人を越える地元のお客様がご来店されますが、今まで一度も店頭に並べたことがありません。価格も市販の麹の3〜4倍もするのですが、他の麹を見向きもせずに「喜っ川の麹」と名指しで買いに来られるお客様がほとんどのようです。
寒の時期になると麹づくりが始まりますが、まだ暗い早朝より仕込が始まります。一回の麹づくりに4日間かかります。そのうち中の2日間は付きっ切りでの作業が行われます。初日洗米した米を,2日目に蒸かし、種付けをし発芽を待ち、3日目が、麹菌が蒸し米に回りだしてから「へぎばこ」に入れ小口で分けて、一箱一箱ていねいに麹菌が深く根を張るように手作業で育てていきます。今もうほとんど行われなくなったこの「へぎばこ」での小口に分けて行う麹づくりで、機械は一切使わず、全て手作業で一箱一箱ていねいに最後まで仕上げます。例えれば赤ん坊を育てるような気持で、気が抜けず目が放せません。以前、蔵元の人に麹づくりの話しをしたら「お前のところそんな作り方しているのか。それは品評会用の大吟醸を作るときにやるかどうかって作り方だ」と驚かれたことがありましたが、
驚いたのはこちらのほうでした。当たり前で作ってきた喜っ川の麹づくりは当たり前ではなかったのです。
麹づくりはいかに麹菌を蒸米の奥深く根を張るように育てるかが勝負ですが、室温一度の温度の管理を上だ下だと大騒ぎしながら作っています。他では作らないような最高の麹を作るから、美味しい鮭の飯寿司ができるのです。村上のお正月を飾るこの飯寿司は村上の大切な熟れ寿司の文化です。その文化を支えているという使命感を持ちながら、これからも最高の麹をつくり続けて参りたいと思います。



