村上・千年鮭 きっかわ

村上の食文化

村上の鮭料理

村上の鮭料理は百を越えます。様々な調理法を駆使し、手間暇をかけることによって、通常捨ててしまう部位でさえ極上の珍味に変えてしまいます。特に、発酵作用によってつくられたものは、深い味わいと豊かな風味が加わるだけでなく、微生物の働きによって生み出された栄養成分が体の調子を整えてくれ、食品の長期保存も可能にしてくれます。そんな、村上に伝わる鮭料理の一部をご紹介します。

発酵させて作るもの

【塩引き鮭】

村上を代表する鮭料理。
塩を引いた鮭を、村上の北西の風に晒し
一か月かけじっくり熟成させたもの。

【鮭の酒びたし】

塩引を引いた鮭を村上の気候風土で
風に当て一年かけて熟成。
薄く切り日本酒に浸して食べる珍味。

【鮭の飯寿司】

村上の正月料理で、薄く切った
塩引鮭の切り身とはらこ、氷頭などを、
麹を合わせたご飯に漬けた馴れ寿司。

【鮭のめふん(背腸)】

鮭の腎臓を塩だけで2年寝かせた珍味。
平安時代に租税として
村上から京の都の朝廷に納められていた。

【写真】発酵させて作るもの

【なわた汁】

鮭の内臓(なわた)を一口大に切り、
大根もしくはネギを入れて作る味噌汁。

【白子の刺身】

獲れたての白子を刺身にしたもの

【どんびこ】

鮭の心臓(どんびこ)を串にさして
塩焼きにしたもの。

【どんがら】

鮭の中骨(どんがら)を
骨まで柔らかく煮込んだ旨煮

【氷頭(ひず)なます】

鮭の頭の軟骨(氷頭)を薄切りし、
はらこやきゅうりを入れ、
大根おろしとあえて作る酢の物。

普通は捨ててしまう部分で作るもの

【写真】普通は捨ててしまう部分で作るもの

その他の有名な鮭料理

【はらこの醤油漬】

鮭の卵(はらこ)をダシ醤油に漬けたもの。

【鮭の焼漬】

焼いた鮭を熱いうちに、
冷やしたダシ醤油に漬け
味を染み込ませたもの。

【鮭こかわ煮】

鮭のすり身に、ダシ汁と鮭の皮やはらこを
入れて作る鮭のしんじょ。

【写真】その他の有名な鮭料理

村上の伝統行事と鮭料理

七月七日夏まつりの鮭の酒びたし

【写真】夏まつりの鮭の酒びたし

お祭りを飾る家庭の自慢の鮭料理

夏まつりでは大皿に盛った料理が振舞われます。
鮭の酒びたしも定番で、熟成した塩引き鮭を薄くスライスしてお皿に並べ、お酒をかけて食べます。

十一月袴儀(はかまぎ)の鮭料理

【写真】お祭りを飾る家庭の自慢の鮭料理

鮭料理で祝う、村上ならではの風習

村上では五歳の男児を袴儀という儀式で祝います。
「都会に出てもたくましくなって村上に戻ってこい」という気持ちを込めて鮭料理が出されます。

十二月大晦日・年取り魚の塩引鮭

【写真】大晦日・年取り魚の塩引鮭

一のヒレの伝統

大晦日の晩、村上では大ご馳走を作って一年の締めくくりを祝います。そのメインの料理が塩引鮭と決まっており、年取り魚と呼んでいます。
この鮭の胸ビレについている部位を「一のヒレ」と言い、神様にお供えしたあと、一家の主人が食べます。

一月正月料理を飾る鮭の飯寿司

【写真】新年を迎える鮭料理

新年を迎える鮭料理

村上の正月の料理の定番は鮭の飯寿司です。
杉の正目で作った桶に麹とご飯を合わせたものを敷き、薄く切った塩引鮭の様々な部位と、はらこと氷頭(ひず)を乗せ、笹で包んで、一ヶ月乳酸発酵させて作ります。