きっかわは1626年(寛永3年)米問屋として創業、江戸時代の末期より造り酒屋を営んでいました。しかし戦後の昭和30年代になり、村上から消えかけようとしていた鮭料理を絶やしてはならぬと、大きく方向を変え、村上で初めて鮭料理を製品として製造販売する店として生まれ変わりました。時代の変わり目の中で、それまでの食生活が古くさいと疎まれ作られなくなっていく中、千年前の平安時代から続く村上の鮭料理、このふるさとの味を失ってはならぬという強い思いをもっての一大決心でした。方々で鮭料理の講習会を開き、鮭料理の普及にも努めました。
昭和50年代になると、村上では鮭製品を作る店が増えはじめ、割烹など料理屋では鮭料理が秋の定番メニューになりました。今でこそ村上は、鮭料理の町と言われるようになりましたが、まだ誰からも見向きのされていない時代から、その本質を見抜き「村上の鮭文化は日本一」と訴え続け、村上の鮭料理を世の中から注目されるようにしたのは14代目吉川哲鮏です。哲鮭の鮭食文化への情熱には並々ならぬものがありました。
2015年、新しい時代に即した、洋風鮭料理のブランド「Madam Kikkawa」を発表、2017年には村上初の鮭料理専門店「井筒屋」をオープンさせました。
新しい展開を見せながらも、村上の鮭食文化を誇り高く継承し、鮭への感謝と慈しみの精神を大切に、化学調味料や添加物は一切使用しない、本物のものづくりに精進し続けています。